ひかりクリスタ(酸化チタン光触媒)
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技術概要
光触媒とは
光のエネルギーを利用して化学反応を促進する物質のことです。太陽光や蛍光灯などの光が当たることで、その表面に強い酸化力が生じ、悪臭物質や細菌、ウイルスなどの有害物質を酸化分解し、無害化する働きがある機能性材料です。
主な特徴
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光が当たると活性化
光触媒は、光が当たることで化学反応を起こす「触媒」として働きます。
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有害物質の分解
悪臭の原因物質、細菌、ウイルス、VOC(揮発性有機化合物)などを酸化分解します。
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再利用可能
反応後も自身は変化せず、繰り返し使えるのが特徴です。
当社の「ひかりクリスタ(光触媒)」を搭載した空気清浄機は、他社の製品より優れた機能・性能を持ち、空気中の汚染物質を吸着・除去するだけでなく、独自開発の光触媒ユニットにより、一般的な空気清浄機では分解除去が困難な悪臭物質やVOC(揮発性有機化合物)の無害化、さらには細菌・ウイルスの不活化にも高い効果を発揮します。
酸化チタン(TiO2)光触媒の
優れた点
酸化チタン(TiO2)は、化粧品や食品添加物としても使用されている、安全性の高い物質です。
この酸化チタンを用いた光触媒は、光を当てるだけで、細菌やウイルス、悪臭物質、ダイオキシンなどの有害物質を分解・無害化できる優れた触媒です。その高い分解能力と安全性から、空気浄化、水質浄化、抗菌・防臭コーティングなど、さまざまな分野での応用が期待されています。
さらに、酸化チタン光触媒は、化学薬品を使用せずに環境浄化が可能であり、持続可能な社会の実現にも貢献します。光が当たる限り繰り返し反応を起こすため、長期的な効果が期待でき、メンテナンスの手間も少なく経済的です。今後は、医療・介護施設、公共交通機関、学校など、衛生管理が求められる場所への導入が進むことで、より安全で快適な生活環境の構築に寄与すると考えられています。


この名称は、光触媒反応のキーワードである 「紫外光(ひかり)」 と「酸化チタン結晶(クリスタル)」を組み合わせた造語です。
また クリスタ は、「きれいにする、浄化する:クリーン」の意味合いも含んでいます。
光触媒の原理
1光触媒(二酸化チタン:TiO2)に波長380nm以下の紫外線が照射されると、光触媒表面に強力な酸化力を持つOHラジカル等の活性種が生成します。
酸化チタン光触媒「生成」
イメージ図
2生成された活性種に有害物質(悪臭物質、細菌、ウイルス)が接触すると、酸化反応により分解が進み、最終的に二酸化炭素と水に無害化されます。
酸化チタン光触媒「分解」
イメージ図
「ひかりクリスタ
(酸化チタン光触媒)」
と他の光触媒技術との違い
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独自開発の光触媒ユニット
一般的な光触媒は、光が当たる面積や強度に依存しやすいですが、「ひかりクリスタ」は光の照射効率を最大化する構造設計が施されており、より安定した分解性能を発揮します。
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安全性と持続性の両立
酸化チタンをベースにしながらも、ナノレベルでの表面改質やコーティング技術により、長期間にわたって性能が劣化しにくく、安全性も確保されています。
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VOC・悪臭・ウイルスへの高い分解力
一般的な空気清浄機では除去が難しいVOC(揮発性有機化合物)や悪臭成分、ウイルス・細菌の不活化において、第三者機関による試験でも高い効果が確認されています。
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多用途展開が可能な柔軟性
空気清浄機だけでなく、壁材、フィルター、建材、車内装備など、多様な素材・環境に応じた応用展開が可能です。
ひかりクリスタ ー 清浄技術の未来を照らす、研究開発史

ひかりクリスタ 第1世代
産学官の連携により、高い分解性能を持つ固定型の「角柱状TiO2光触媒」を開発
第1世代 2001年 シックハウス症候群の原因とされるアセトアルデヒドや揮発性有機化合物(VOCs)、窒素酸化物(NOx)などの有害物質や悪臭を、短時間で分解できる
「角柱状チタン型TiO2光触媒」の開発に成功しました。
特長
角柱状構造(角柱状結晶の集合体)を持つため、従来のバインダー※使用方式に比べて表面積が大きく、光触媒として高い活性を発揮します。また、バインダーを使用していないため、酸化チタンが接着剤に埋もれることなく露出し、光触媒の性能を最大限に引き出すことができます。
※粉体酸化チタンを貼り付ける接着剤
一般的な「酸化チタン光触媒」

酸化チタンをバインダーと混ぜてシートに塗っているため、酸化チタンの一部が接着材も埋もれ、効率よく有機物質を分解できない。
当社の「角柱状TiO2光触媒」

酸化チタンをバインダーと混ぜてシートに塗っているため、酸化チタンの一部が接着材も埋もれ、効率よく有機物質を分解できない。
ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOCs)など、 シックハウス症候群の原因とされる有害物質や悪臭を、短時間で分解
第1世代「ひかりクリスタ」と従来品のアセトアルデヒド除去性能比較

ひかりクリスタ 第2世代
独自開発の低温結晶化製法を用いた高活性光触媒『ナノチタニアプレート』
第2世代 2013年 高活性ながら課題もあった第1世代のひかりクリスタ。その限界を打ち破るべく、低温での合成・結晶化という革新的な製法を開発しました。応用範囲が大きく広がりました。
第1世代の「ひかりクリスタ(角柱状TiO2光触媒)」は非常に高い活性を持っていましたが、いくつかの課題も抱えていました。ひとつは、製造時に高温が必要なため、応用できる範囲が限られてしまうこと。もうひとつは、使用する基材の取り扱いが難しい点です。
これらの課題を克服するために、実験と試作を重ねた結果、「低温条件下で酸化チタン光触媒分散液を合成・結晶化させる」という新たな製法の開発に成功しました。
(特許第4800914号)
特長
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第1世代 「ひかりクリスタ(角柱状TiO2光触媒)」に比べ、約1.5倍※の脱臭性能向上を達成
(水道水洗浄により性能低下なしを確認) ※アセトアルデヒドガス注入2分後の除去率(%)で比較 - 基材にガラスクロスを使用しており、耐久性、加工性に優れる
- 低温度、常圧下で合成可能なので、作製工程が簡便で短時間


独自開発の低温結晶化製法による
第2世代「ひかりクリスタ
(ナノチタニアプレート)」
第1世代の「ひかりクリスタ」に比べて、低温・常圧で合成できるため、製造工程は「塗布して乾燥するだけ」と非常に簡便です。
短時間で高活性なTiO2光触媒の作製が可能となりました。
また、基材にガラスクロスを使用しているため、加工がしやすく、取り扱いにも優れています。
第2世代の「ひかりクリスタ」と従来品のトルエン除去性能比較

従来品に比べて、約2倍の速さで脱臭できる高性能が確認されました。
新製法の主な利点
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低温での製造が可能
従来の高温処理が不要になることで、熱に弱い素材(プラスチック、繊維、紙など)にも光触媒を応用できるようになります。製造コストの削減やエネルギー効率の向上にもつながります。
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応用範囲の拡大
建材だけでなく、家具、内装材、衣類、フィルム、フィルターなど、より多様な製品への展開が可能になります。
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基材の選択肢が広がる
取り扱いが難しかった基材にも対応できるため、製品設計の自由度が向上します。
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光触媒性能の維持・向上
バインダーを使用しないことで、酸化チタンが表面にしっかり露出し、光触媒としての性能を最大限に発揮できます。
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環境負荷の低減
製造時のエネルギー消費が少なく、環境に優しいプロセスとして評価されやすくなります。
ひかりクリスタ 第3世代
吸着機能と酸化分解機能を複合化した光触媒『ハイブリッド光触媒』
第3世代 2015年 即効性と持続性を兼ね備えた光触媒ユニットへの強いニーズを受けて開発しました。吸着機能と酸化分解機能を融合(ハイブリッド化)することに成功し、活性炭を上回る脱臭スピードと、光照射による自己再生機能を備えた、環境にもやさしい光触媒ユニットを開発しました。
(特許6568402号)
特長
ニオイ物質を素早く吸着し、酸化分解によって無害化する機能を備えた機能性材料
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第2世代 ひかりクリスタに比べ、約2.8倍※の脱臭性能向上を達成
※アセトアルデヒドガス注入2分後の除去率(%)で比較 - 光照射がなくても、吸着機能により高い脱臭効果を発揮
- 金属多孔質基材(メタルフォーム)採用より透過型構造を実現
- 設計自由度が高く、様々なサイズや形状への展開が可能

成形例

各世代「ひかりクリスタ」のアセトアルデヒド除去性能比較

ひかりクリスタ 第4世代
第4世代 2019年 光触媒反応時のニオイ課題と、低圧力損失化を実現した光触媒『中間生成物 ※改善光触媒 』が完成
「中間生成物」
※空気中の有害物質やニオイ成分を分解する過程で一時的に生じる物質のことです。光触媒が汚染物質に反応すると、すぐに水や二酸化炭素になるわけではなく、途中でアルデヒド類や有機酸などの化合物が生成されます。これらは分解の途中段階で現れるもので、完全に分解される前に一時的に存在します。中間生成物はニオイの原因になることがあり、快適な空間づくりにはこれらの抑制が重要です。
特長
- 空気中の有害物質を分解する際に発生するニオイ(中間生成物)を、従来の「第3世代 ひかりクリスタ」と 比較して約80%低減しています。これにより、分解性能はそのままに、より快適でクリーンな空間を提供します。室内での使用においても、ニオイによる不快感を大幅に軽減できます。
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「ひかりクリスタ」の基材として新たにコルゲート(波形)構造の担体を採用しました。この構造により、空気が通過する際の抵抗(圧力損失)を大幅に軽減することができ、従来品と比べて約50~80%の低減※を実現しています。これにより、空気の流れがスムーズになり、装置の省エネルギー化や静音性の向上にもつながります。快適な使用環境を保ちながら、高い浄化性能を発揮します。
※風速0.5~5.0(m/s)の時

各世代「ひかりクリスタ」のエタノール分解時のアセトアルデヒド生成濃度変化

エタノール(C₂H₅OH)を光触媒の存在下で分解すると、以下のような反応が起こります:
- エタノールが光触媒表面で酸化される。
- その過程で中間生成物として「アセトアルデヒド(CH₃CHO)」が生成される。
- さらに反応が進むと、アセトアルデヒドは最終的に二酸化炭素(CO₂)と水(H₂O)に分解される。
エタノールは、アルコールの一種
主な特徴と用途
- お酒の成分:ビールやワインなどのアルコール飲料に含まれる成分です。
- 消毒液:手指消毒や医療用の消毒液に使われます。
- 燃料:バイオエタノールとして、自動車の燃料にも利用されます。
- 溶剤:香水や化粧品、薬品の製造にも使われます。
エタノールの健康への影響
体内でアセトアルデヒドという物質に変わり、これが「頭痛」や「吐き気(二日酔い)」等の原因になります。
ひかりクリスタ 第5世代
2022年 第4世代を基盤技術として、抗菌性能を更に向上させた第5世代 光触媒「除菌性能特化型光触媒」が完成。第4世代と比較して、抗菌活性値が1.2倍に向上し、暗所でも抗菌効果を発揮します。また、第4世代と同等の中間生成物低減効果も備えています。
(特許第7436992号)
特長
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抗菌性能の向上(1.2倍)
従来品よりも高い抗菌活性を持ち、より短時間で菌の増殖を抑制できます。
医療機関、食品工場、公共施設など、衛生管理が重要な場所での使用に適しています。 -
暗所でも効果を発揮
多くの抗菌技術は光(特に紫外線)を必要としますが、この技術は光がない環境でも抗菌効果を維持します。これにより、室内の隅や家具の裏、夜間などの暗所でも効果が持続し、使用範囲が広がります。
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中間生成物(反応臭)の大幅低減(80%)
抗菌反応の副産物として発生する不快な臭いや有害物質を大幅に抑制。
人体や環境への影響を軽減し、安全性と快適性が向上します。
大腸菌に対する抗菌性能実験

- 分析・測定・実験などの対象として取り扱う物質や材料
- 食品や環境中に存在する“生きている微生物(細菌)”の数を表す指標
- 製品や素材が細菌の増殖をどれだけ抑える力を持っているかを数値で表したもの

- 分析・測定・実験などの対象として取り扱う物質や材料
- 食品や環境中に存在する“生きている微生物(細菌)”の数を表す指標
- 製品や素材が細菌の増殖をどれだけ抑える力を持っているかを数値で表したもの
第5世代 「ひかりクリスタ」の
用途展開
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製品導入タイプ
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コルゲートタイプ(開発中)
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プリーツフィルタータイプ(開発中)